機関紙「いわて労連 2018年2月号      

●18春闘スローガン/安倍改憲NO!労働法制改悪反対!被災者本位の復興実現!/賃上げと雇用の安定で地域経済活性化/いわて労連第51回評議員会開催●安倍9条改憲NO!スタンディングや昼デモ●大熊座●18春闘年次総会・学習会 改憲阻止の運動の発展を●2018春闘旗開き/春闘勝利、改憲阻止の決意を固める!●3000万署名運動、各組織で推進中●36協定、特別条項ってなに?●そもそも1日8時間、週40時間が上限●過労死ラインを容認する法案●特別条項の廃止を●自治体一般労組平泉町役場支部を結成!●8時間働いて、まともに暮らせる社会を〜最賃ディーセントワーク宣伝●6・9行動でヒバクシャ署名訴え●年金裁判、社保庁裁判へさらなる支援を●無期転換の実t現を/岩手大学へ要請●(告知)2018年 「建国記念の日」 について考える県民のつどい/さようなら原●めも・あーつ196●川柳
 

 


1面
18春闘スローガン
安倍改憲NO!労働法制改悪反対!  被災者本位の復興実現!
賃上げと雇用の安定で地域経済活性化

いわて労連第51回評議員会開催
 1月28日、いわて労連は第51回評議員会を開催し、18春闘方針などを討議・確認しました。
 金野議長はあいさつで「安倍政権による改憲と、働き方改革関連一括法案を阻止するために、地域で共同を広げて国民春闘をたたかおう。沖縄の闘いに連帯して、戦争する国づくりをストップさせて、安倍政権を追い詰めていこう」と呼びかけました。
 来賓あいさつを、安倍9条改憲NO!全国市民アクション岩手の会を代表して岩手県生協連の加藤善正顧問、日本共産党岩手県委員会の吉田恭子・国会議員団県事務所長が行いました。加藤氏は「安倍政権による改憲発議をなんとしても阻止せねばならない。全県で全戸訪問などをしながら3000万署名を大きく広げよう」と強調しました。
 中村事務局長が運動の中間報告と18年国民春闘方針や会計の中間報告等を提案し、小笠原浩次会計監査が監査報告を行いました。
 午後の討論では18人が発言し、改憲NO!3000万署名推進の運動、大幅賃上げ、復興の推進、労働法制改悪反対、長時間労働改善、争議のたたかい、組織拡大の取り組み、18春闘での要求実現に向けた闘いの構えなどが語られ、方針が補強されました。全ての議案が満場一致で確認されました。
 18春闘闘争宣言を、西映子・いわて労連女性部長が提案して採択されました。閉会あいさつを斎藤副議長が述べ、最後に金野議長の団結ガンバローで終了しました。
 討論の前に争議組合支援カンパの贈呈が行われ、社保庁分限免職撤回でたたかう県国公、年金引き下げ違憲訴訟でたたかう年金者組合、郵政20条裁判でたたかう郵政ユニオンに支援金を渡して激励しました。役員補充選挙も行われ、青年部、女性部選出の幹事を補充しました。
 沖縄・名護市長選挙支援カンパも呼びかけられ、約2万円が寄せられました。
 新任幹事=中野裕太(青年部長・医労連)、西映子(女性部長・自治労連)。

安倍9条改憲NO!/スタンディングや昼デモ
 1月16日、ピースアクションいわて(いわて労連女性部、新婦人、県母連、岩商連女性協、女性9条の会)が盛岡地裁前で安倍9条改憲NO!スタンディングとリレートークを行い、35人でアピールしました。
 1月19日には、安倍改憲NO!1・19昼デモ行進が盛岡市内で行われ、120人が参加しました。「安倍9条改憲NO!全国市民アクション岩手の会」が主催し、出発前に平和環境県センターの野中議長と憲法改悪反対県共同センターの渋谷靖子さん(新婦人県本部)があいさつしました。 1月22日には、第196回通常国会に合わせて、いわて労連、県春闘共闘、憲法改悪反対県共同センターは盛岡で昼デモを行い約70人が参加しました。主催者あいさつをした金野・いわて労連議長は「9条改憲を許さず、3000万署名を積み上げて安倍政権を追い詰めよう」と呼びかけました。

大熊座
 気仙原水協事務局長の佐々木勝正さんが1月25日にお亡くなりになりました。77才でした。銀髪で背筋がピンと伸びた佐々木さんは、昨年の原水爆禁止国民平和大行進の岩手県内通し行進者でした。ちょうど県内行進の最中に、国連で核兵器禁止条約の採択に向けた交渉会議(第2会期)が始まり、翌7月についに条約が採択されました▼いわて労連の機関紙でも昨年7月号のトップ記事に佐々木さんと佐々木さんのお孫さんが盛岡で一緒に行進している写真と記事を掲載していました。佐々木さんは、6月10日に青森から引き継ぎを受けて、18日に宮城に引き継ぐまでの9日間、岩手県内を核兵器の廃絶をアピールして歩き通し、県庁や各市町村役場も訪問し、各地区での集会でも元気にごあいさつをされていました。その姿に私たちもどんなに励まされたことか。一緒に行進されたお孫さんも、きっと、おじいちゃんの平和を願う気持ちが通じたことと思います▼私たちは、今、「安倍9条改憲NO!3000万署名」と「核兵器廃絶を求めるヒバクシャ国際署名」を取り組んでいます。生前、佐々木さんが長年にわたって取り組んで来られた核兵器廃絶と「平和憲法9条を守れ」の活動を、これからは私たちがしっかり受け継いでいきたいと思います▼寒かった今年の冬も節分を迎え、だんだんと日差しも強くなってきます。たくさんの署名を集めるためには、ご近所回りや街頭・戸別訪問など思い切ってチャレンジすることが大事ですね。私も一歩踏み出してみます。佐々木勝正さん、どうぞ安からにお眠り下さい。お世話になりました。(こ)


2面
18春闘年次総会・学習会/改憲阻止の運動の発展を
 いわて労連、国民春闘岩手県共闘会議は、1月5日、18春闘早朝宣伝行動を盛岡市の県公会堂前で行い、18春闘のスタートを切りました。
 約500枚の春闘アンケート付きのチラシを配布しました。宣伝カーから金野議長や副議長、単産・単組の書記長などが、大幅賃上げ実現、改憲阻止、アベ雇用改革阻止など18春闘課題について、県庁・市役所前の通勤中の労働者に訴えました。
 1月6日には、春闘共闘年次総会と春闘学習会を盛岡市サンビルで行って18春闘の体制と方針を確立しました。学習会では全労連・長尾ゆり副議長が「憲法改正を許さないたたかいと展望」と題して講演しました。
 その後、県春闘共闘年次総会を開催して「誰でも月額2万円以上、時間給150円以上」などの要求を確認し、安倍9条改憲阻止、暴走政治にストップをかけて、職場・地域でたたかう構えを確立しました。県春闘共闘の役員体制も確立しました。
 討論では、単産・単組、地域組織から、18春闘でたたかう構えや決意が述べられ、春闘方針が補強されました。


2018春闘旗開き/春闘勝利、改憲阻止の決意を固める!
 1月6日、盛岡市のサンビル7階大ホールで、いわて労連、盛岡労連、県春闘共闘主催の新春旗開きを開催し、約160人が参加しました。18春闘勝利に向けて、県内各地から労働組合や民主団体がつどい、団結を固めあう場となりました。 今年のオープニングステージは、盛岡市在住で昨年日本ジャズボーカル賞新人賞を受賞した金本麻里さんによるジャズ演奏でした。ジャズピアニスト秋吉敏子作曲の「ヒロシマ組曲」の一部に詩人の谷川俊太郎が歌詞をつけた「Hope」という曲も披露され、平和への願いが込められたステージになりました。
 金野耕治・県春闘共闘議長が主催者あいさつを行いました。その後、来賓を代表して全労連・長尾ゆり副議長、岩手県から八重樫浩文雇用対策・労働室長、木戸口英司・参議院議員、日本共産党岩手県委員会・菅原則勝県委員長があいさつしました。いわて労連前議長の鈴木露通さんが乾杯を行いました。
 第三部の司会は、柳原小百合・女性部幹事と古川力士・青年部幹事が元気に担当しました。
 争議組合として、岩手県国公、年金者組合、郵政ユニオンが紹介され、それぞれ訴えを行いました。
 新規加盟組合としていわてローカルユニオンのメタルワークス分会が紹介されて、代表の3人があいさつしました。
 アトラクションは今年も盛岡市職労OB団友「ファニーフェイス」のバンド演奏を楽しみました。
 その後、労働者合同合唱団が歌声を響かせました。最後は会場全体で輪になって「がんばろう」を歌い、金野議長の団結ガンバローの後、盛岡労連・菖蒲沢議長の閉会あいさつでお開きとなりました。

3000万署名運動、各組織で推進中
 改憲阻止に向けた集会や宣伝など、県内の組織の運動が進められています。
 岩手県革新懇は1月3日に盛岡市ナナック前で安倍政治を許さない・リレートークを行い、3000万署名を訴えました。
 1月19日、岩手県国公共闘は盛岡市内で旗開きを開催しました。その際、冒頭で「安倍9条改憲NO!総決起集会」を開催。憲法を守る取り組みの決意が各単組から語られました。
 同じ日、岩手自治労連や岩手県医労は、中央委員会を開催。自治労連は、佐々木良博弁護士を講師にした憲法学習会を開催して意思統一しています。岩手県農協労組臨時大会でも金野議長を講師に春闘学習を行い、春闘要求を意思統一しました。
 憲法改悪反対岩手県共同センターは、1月から毎月第2・第4木曜日に定例宣伝を行って、3000万署名を呼びかけています。
 憲法9条を守る岩手の会も、「9の日宣伝」を継続しており、1月9日、盛岡市大通で3000万署名を訴えました。

3面
なくそう過労死・長時間労働/36協定、 特別条項ってなに?
 過労死の根絶、長時間労働の改善は18春闘の重要課題です。皆さんの職場の労働時間や「36協定」はどうなっているでしょうか。「特別条項付き協定」になっていませんか?そもそも労働時間法制がどうなっているかをふりかえってみましょう。

労働時間は1日8時間、週40時間
 労働基準法第32条は「1日8時間、1週間について40時間を超えて労働させてはならない」と定めており、これが労働基準法上の労働時間上限です。
 ただし、第36条の定めにより「過半数で組織する労働組合」か「過半数代表者」と協定して監督署に届けてはじめて使用者は、時間外労働や休日労働をさせることができます。これが「36協定」です。この場合、協定で定めた時間が上限です。厚労省は告示で「週15時間、1ヶ月45時間、年360時間」など、協定時間の上限基準を示しています。しかし「特別条項付き協定」を結べば、この上限も超えることができます。臨時的な事情がある場合で、1年の半分を超えないこととされていますが、上限時間の定めがないため、大企業などで年1000時間を超えるような協定を結んでいる例もあり、問題になっています。安倍政権は、残業時間の上限規制と称して、特別条項に「月100時間未満」という上限を設けようとしています。

過労死ラインを容認する法案
 
厚労省は「発症前1か月間ないし6か月間に、月おおむね45時間」、「発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間に、月おおむね80時間」を超える時間外労働で業務起因性が認められるとしており、過労死ラインといわれます。実際は80時間以下で認定されるケースが多く、「月100時間未満」はまさに「過労死容認」です。休日労働に抜け穴があり、年間960時間もの長時間労働が容認されるのが「働き方改革関連一括法案」です。絶対に阻止しなければなりません。

特別条項の廃止を
 第32条と第36条の上限に、さらに「100時間未満」の上限など異常です。すでに法案を先取りして36協定の上限を延長する企業も出はじめています。一括法案を阻止し、せめて「特別条項」をなくして働ける環境をつくりましょう。

新たに加入した仲間が仲間を増やして!/自治体一般が新支部を結成!
 昨年12月6日、岩手自治労連傘下の県自治体一般労組・平泉町役場支部の結成大会が行われました。平泉町職はこの3年間、担当者を配置して「非正規」職員を対象にした懇談会やランチ会を開催して組合加入を進めてきました。
 結成総会では県自治体一般労組の三宅信雄委員長が「新しく加入した仲間が仲間を増やす活動は全国からも注目されている」と挨拶。県本部の小野寺栄悦委員長もかけつけて激励しました。 この間、懇談会での意見を当局に伝え、賃金改善や年休日数の拡大、勤務条件通知書の交付などの要求を実現してきました。
 今後も保育士や調理員にも加入を呼びかけ、さらに仲間を増やす活動も確認しました。

8時間働いて、まともに暮らせる社会を/最賃ディーセントワーク宣伝
 1月15日、盛岡市大通でいわて労連、いわてパ臨連、いわてローカルユニオンは最賃・ディーセントワーク宣伝を行いました。
 18春闘チラシとティッシュの入ったセットを配布しながら、安倍政権のすすめる「働き方改革一括法案反対」を訴えて、「過労死と職場における待遇差別の根絶を求める署名」を呼びかけました。いわてパ臨連の川島代表は無期雇用転換ルールについても訴えて、不当な雇止めを許さず、無期雇用に切り替えるチャンスにしていこうと呼びかけました。
 大変冷え込む中での宣伝でしたが、家族と一緒に署名に応じる人、チラシをとってじっくり読む人もありました。

6・9行動でヒバクシャ署名訴え
 1月9日、岩手県原水協と県被爆者団体協議会は「6・9行動」を盛岡市大通で行い、ヒバクシャ国際署名を呼びかけました。県被団協の下村事務局長もマイクを持って「県も含めた34自治体のうち、7割以上で核兵器禁止条約へ日本政府の署名と国会批准を求める自治体決議が採択された。ヒバクシャ国際署名をさらに広げていこう」と呼びかけました。
 県被団協が事務局を務める「ヒバクシャ国際署名をすすめる岩手の会」は、2月18日に「岩手の会結成1周年ジャンプアップ集会」を県水産会館で10時半から開催します。和田征子・日本被団協事務局次長を招いて講演を行います。

年金裁判、社保庁裁判へさらなる支援を
 1月10日、社会保険庁分限免職秋田事案裁判で、仙台地裁は請求を棄却する不当判決を出しました。引き続き原告3人が控訴して闘う構えです。
 また、1月12日、年金者組合岩手県本部がたたかう年金裁判の口頭弁論が盛岡地裁で行われ約30人が傍聴支援に参加しました。次回は3月19日に行われます。引き続き支援を強めましょう。

無期転換の実現を岩手大学へ要請
 4月から改正労働契約法18条による無期雇用転換の運用がはじまります。岩手大学では契約職員・時間契約職員の契約期間を「3年」及び「5年」に制限しており、岩手大学教職員組合は制限の廃止を求めて交渉しています。
 1月29日、いわて労連と盛岡労連、県国公共闘は、岩手大学教職員組合と共に、岩手大学に対して雇用改善を求める要請書を提出しました。全国の国立大学法人で無期雇用転換が問題になっており、東京大学は交渉の結果5年上限を廃止。岩手大学でも地域における雇用の責任を果たすよう、上限廃止を求めて交渉していきます。


主張
賃上げと安定雇用でこそ 地域経済活性化
 
18春闘がスタートしています。アベノミクスによって、大企業は史上空前の利益をあげながら総額人件費抑制を続けています。内部留保は400兆円を超えています。労働者の実質賃金は低下の一途をたどり、低所得者の増加による消費の低迷が、中小企業の経営危機を呼び、人口減少と地域経済の疲弊を招いています。大企業の内部留保を取り崩して大幅賃上げを実現してこそ地域経済が活性化します。しっかりと構えて闘うならば、大幅賃上げを勝ち取る絶好のチャンスです。 県春闘共闘といわて労連は18春闘方針を確立し、「誰でも月額2万円以上、時給150円以上」、最低賃金「時給1000円以上」などの要求を確認しました。実質賃金はこの4年間で2万以上も減少しています。せめて前の水準に戻すためにも、6〜7%の賃上げが必用です。アンケートなどを元に、要求に確信を持って、たたかいを進めましょう。
 「三大要求」として「すべての働く人々の賃上げ・実質賃金の改善、最賃今すぐ1000円以上の実現」、「安倍『働き方改革』撤回!格差是正・均等待遇と時短・労働時間の上限規制の実現」、「9条改憲反対・戦争する国づくり反対、消費税増税中止・社会保障の拡充」を掲げます。被災者本位の復興の推進も重要課題です。
 2月は地域総行動月間です。自治体、経営者団体、商工団体、中立組合などへの要請・対話、地域宣伝などに取り組んで、賃上げと安定雇用でこそ地域経済活性化、という主張を伝えて合意を地域からつくりだしていきましょう。安倍改憲NO!の対話も大いに広げましょう。
 18春闘の統一回答指定日は3月14日、統一行動日は3月15日です。13日の重税反対統一行動も合わせて、18春闘最大の山場として、ストライキの配置、職場集会や地域宣伝など、全ての組合員が結集する行動を配置しましょう。すべての地域組織で宣伝や集会、デモなどを行って国民春闘を地域から盛り上げていきましょう。

告知
2018年 「建国記念の日」 について考える県民のつどい
日 時 2月11日(日)10時〜12時
場 所 盛岡市総合福祉センター4階講堂
講 演 「岩手靖国違憲訴訟と安倍改憲」(仮題)
講 師 澤藤統一郎氏(弁護士)
特別報告 3000万署名の取り組みから
          フロア発言
資料代 300円  主催:いわて労連など7団体


さようなら原発岩手県集会2018
日 時 3月10日 13時半〜15時半
会 場 盛岡劇場メインホール
内 容 基調講演「原発をなくそう!〜自然エネルギーへの道〜」
講 師 河合 弘之さん
(弁護士・映画「日本と原発」「日本と再生」監督)
アピール行進
参加無料   主催:集会実行委員会


4面
(平和メッセージ)
田頭賢治(県医労南光病院支部)
 
広島・長崎の悲劇を繰り返させないために行動するのは、今を生きる私達です。
 先日、一関ケーブルテレビで長崎ケーブルテレビの番組を紹介していました。被爆後の町並みを現在の写真と比べたり、当時の映像の場所を明らかにするような内容でした。個人的に今まで長崎の情報をもっていなかったので、改めて、広島と同じくらい長崎の惨状を認識することができました。

ひろば
   川  柳
ヘリの窓5日で填まり即飛行
                                                              巷多朗

物づくり信用地に落ち日本製
                                                野の一枝

被爆者が演壇に立つノーベル賞
                                                 拓  庵

元気生む怒りの種は尽きもせず
                                                瀬川重哉
   年金者組合盛岡支部 

めも・あーつ196
貧困と格差、不平等をなくすという理想をかかげた二人の革命家     映画 「ERNESTO」と佐藤美由紀/著 「ゲバラのHIROSHIMA」
 
チェ・ゲバラの没後50年の昨年、阪本順治監督・オダギリジョー主演の一本の映画「エルネスト」がハバナで上映され、スタンディング・オベーションで迎えられた。
 1941年鹿児島県出身の移民前村純吉を父にボリビア人ロサ・ウルタードを母にボリビアのベニ州に生まれたフレディ前村ウルタード。
 医師を志し、1962年4月にハバナ大学医学部に奨学生として入学した。寡黙だが充実した医学生としての生活を始めた半年後の「キューバ危機」。祖国へ帰るか民兵として志願するかの選択を強いられ、フレディは民兵として海岸警備の任務についた。が突然の米ソ合意で任務は終了し割り切れない思いのまま復学。1963年元旦、学生を励ましに来た憧れのゲバラに会い、いつも疑問に思っていたことを問うた。「あなたの絶対的自信はどこから?」ゲバラの答えは「自信ではない。怒っているのだ。憎しみとは違う」と。
 程なくして、ボリビアで軍事クーデターが勃発。
 フレディは悩みながらも奨学金を断り思いを寄せる女性ルイサとも別れ「革命支援隊」に参加。兵士としての訓練が終わる時、ゲバラから戦士ネームエルネスト・メディコ≠授けられた。1966年、ボリビアの密林に向かうフレディの脳裏には貧困と差別に喘ぐ父と村人の姿。1ヶ月後のゲバラの脳裏には広島の惨状があった。
 1959年7月、キューバの使節団として来日していたゲバラは13日の滞在期間中各地を精力的にまわり、最後に外務省の提案する千鳥ヶ淵の無名戦士の墓参を拒否し広島を訪問。案内は広島県の係長・見口健蔵。取材記者は中國新聞の若い記者・林立雄。原爆慰霊碑では、主語のない碑文に疑問を呈し、原爆資料館では食い入るようにみつめた被爆資料を前に「きみたち日本人はアメリカにこれほど残虐な目に遇わされているのに腹が立たないのか!?」と質している。1967年8月フレディ25歳、10月ゲバラ39歳で捕まり処刑。今、ともにキューバ・サンタクララ市の霊廟に眠っている。
(久保克子)