機関紙「いわて労連 2017年12月号      

●安倍改憲NO!の声を広げよう/(サブ)高田健氏を招いて憲法学習集会●国会大包囲に4万人●大熊座●全国災対連が災害対策全国交流会を開催●県議会で大きな成果〜全国初の請願採択も●食と農を守れ、グリーンウェーブ●11・8中央行動に3500人●県社保協が総会と社会保障学校●アベノミクスの転換を〜岩手県消費者大会●なくせ過労死!いの健フォーラム開催●「12時間2交替中止せよ!」県医労が秋闘決起集会●アベ働き方改革を許すな!ディーセントワーク宣伝、青年ユニオンが県議会に請願●社保庁分限免職は「政治のパワハラ」〜社保庁分限免職撤回闘争●ニュースフラッシュ●主張めもあーつ195●川柳

 


1面
安倍改憲NO!の声を広げよう/高田健氏を招いて憲法学習集会
 
総選挙の結果、改憲勢力が衆議院議員の8割を占めましたが、9条改憲に反対する国民の声は6割を超えています。11月6日、安倍政権による改憲に反対する「安倍9条改憲NO!学習集会」が盛岡市内で昼・夜2回開催され、約100人が参加しました。戦争させない・9条壊すな!岩手の会が主催しました。

 学習会では、総がかり行動実行委員会共同代表で「市民連合」運営委員でもある高田健氏が講演しました。
 高田氏は、立憲民主党がつくられ、共産、社民とともに市民連合との共闘が実現して「立憲野党+市民」の共闘路線は残ったと述べました。立憲民主党の躍進の要因として、@民進党の解体に失望し、怒った市民が「枝野、起て」の声を大量のSNSで発信、A市民の主権者意識の発露、B安保法制などの市民との約束は堅持する、C共産党が60か所以上で候補者を下ろし、立憲民主の勝利に貢献したことを指摘しました。
 憲法9条の改憲問題では、改憲団体の日本会議が「9条に自衛隊を明記すべき」と主張していることを指摘。9条に自衛隊が明記されれば、「陸海空軍その他の戦力は保持しない」としている2項が空文化し、海外で戦争する自衛隊が合憲化されると強調しました。
 9条守る運動の目標として、国会での改憲発議の阻止をめざし、来年5月までの3000万署名の取り組みが重要としました。 
 講演の後、11・3国会包囲大行動に参加した2人が報告をしました。その後、県生協連の吉田専務が、3000万署名の取り組みと岩手版市民アクションの結成を、12月10日にサンビル7階ホールで行うことを提起しました。
 11月20日には盛岡で戦争させない・9条壊すな岩手の会が呼びかける19日行動として盛岡昼デモが行われ、120人が参加しました。

国会大包囲に4万人
 
11月3日、安倍政権による9条改憲に反対する行動が全国各地で取り組まれました。国会周辺で行われた包囲大行動(「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」と総がかり行動実行委員会の共催)には、全国から4万人が参加。岩手県内からも20人余りが参加しました。
 集会では立憲4野党の党首や著名人などがスピーチし、「国会内外が力を合わせ、改憲発議そのものを阻止しよう」と訴えました。総選挙で改憲勢力が3分の2を占めたもとで、改憲に反対する国民の意思を示す行動となりました。
 盛岡では岩手県革新懇と盛岡革新懇が盛岡市大通で「アベ政治を許さない!」宣伝を実施し、憲法9条改悪に反対する3000万署名を呼びかけました。参加者は「安倍首相は平和憲法を壊すな」と元気よくコールしました。
 北上市でも、北上「九条の会」が市内の国道交差点で「まもろう憲法9条」などのプラスターを掲げてスタンディングを行いました。

安倍9条改憲NO!全国市民アクション岩手(仮称)結成会
日時 12月10日(日)13時30分〜16時
場所 サンビル7階ホール
結成記念口演 
 憲法噺〜大笑いしながら憲法を学ぼう〜
 八法亭みややっこ(弁護士・飯田美弥子さん)
   ※終了後、デモ行進あり

大熊座
先日、厚労省主催の「過労死等防止対策推進シンポジウム」が盛岡市内で開催され、参加してきました。印象に残ったのが使用者側の事例報告でした。ある大手証券会社の盛岡支店長は、10年前から会社全体で労働環境の改善に取り組んできたと。バブル崩壊後、社員が生きがいや喜びを感じる働き方を追求し、会長・社長が共同委員長となって「ワーク・ライフ・バランス委員会」を発足▼まず19時前退社は10年前から励行し今は当然のことに、男性も100%育休を取得、幼稚園・保育園・学校の行事は「キッズセレモニー休暇」、そのほか「勤続感謝休暇」や結婚休暇の前に「結婚準備のための休暇」、「親の長寿祝い休暇」など耳慣れない休暇制度が続々。計画的な年休取得のほか、育児短時間勤務制度は小学校6年生まで、ベビーシッター制度の導入や女性向け両立支援・キャリア支援など女性社員が結婚・出産した後も再び職場で活躍できるよう研修・支援制度を創設▼介護休暇は4回まで分割して3年間取得可能とし、高齢化社会への対応や仕事と介護の両立のための勉強会など社員の意識向上と制度を利用しやすい風土醸成に取り組んでいると▼社員の潜在能力を最大限に引き出すことで生産性向上につながり強靱な経営基盤、企業価値と顧客サービス向上につなげるという方針で、経産省と東京証券取引所から「経営健康銘柄」と「なでしこ銘柄」に選定▼社員からも聞かないと実際の取得率や効果など不明ですが、労働者不足の中で優秀な人材を確保するためには、「時間とお金の自由度」が物差しになることは間違いないでしょう。
(こ)


2面
全国災対連が災害対策/ 全国交流会を開催
 
11月10〜11日、災害対策全国交流集会in東京(主催・同実行委員会)が開催され、全国から約200人、岩手県から12人が参加しました。
 初日は、東日本大震災津波の被災地をはじめ、九州や新潟、広島など全国の大規模災害被災地からの報告が行われ、岩手からは復興県民会議・金野事務局長(いわて労連議長)が報告しました。その後分科会に分かれてテーマ毎に討論が行われました。
 2日目の全体会では、東京大学地震研究所の平田直・地震予知研究センター長が「首都直下・南海トラフなど巨大地震災害に備える」と題して講演しました。「どこで地震が起きてもいいように今の科学の実力を生かしつつ、社会全体で備えることが大切だ」と強調しました。

県議会で大きな成果/全国初の請願採択も
 
9月定例県議会が9月22日から10月23日まで開催されました。総選挙がたたかわれる中での県議会でしたが、大事な成果がありました。
 6月県議会で、東日本大震災津波救援・復興岩手県民会議(事務局・いわて労連)と県社保協、県保険医協会などが提出した「被災者の医療と介護保険利用料などの免除措置の継続」を求める請願が採択されました。県議会の意見と市町村の意向を踏まえて、達増知事は来年1月以降も1年間、免除措置を継続実施することを表明しました。被災者の願いと県民の運動にこたえた大きな成果です。
 県被団協と県原水協が提出した「日本政府がすみやかに核兵器禁止条約に署名し、国会が批准することを求める」請願が全国都道府県議会で、初めて採択されました。自民党会派が反対しました。県内では盛岡市をはじめ15市町村で意見書が採択されています。
 子どもの医療費助成拡充を求める岩手の会が提出した、小学校までの子どもの医療費助成の現物給付化を求める請願も全会一致で採択されました。
 いわて食農ネットが提出した「農業者戸別所得補償制度の復活を求める」請願・意見書も採択されました。これも県議会では全国初の成果です。
 いわて労連も関わってきた運動の成果です。これを確信に、運動をさらに広げましょう。    

食と農を守れ/グリーンウェーブ
 いわて食農ネットは毎年11月に自治体と農協への要請行動「グリーンウェーブ」を行っています。今年は11月13日から24日にかけて訪問・懇談を行いました。いわて労連、農協労組、農民連をはじめ、いわて生協、新婦人の会など幅広く参加しています。
 「食の安全と食料自給率向上を求める要請」を渡して懇談、賛同書をもらう取り組みです。
 要請書は@家族農業を大切にした農政で食料自給率向上をめざし、企業優先の「農業・農協改革」をやめること、A農業者戸別補償制度の復活、BTPPや日欧EPAの交渉中止、C食品検査や表示の強化、D東日本大震災や台風被害への手厚い復興策、の5つです。
 懇談では米や酪農をめぐる状況や、沿岸地域では農林水産業の復興状況と共に、台風被害の影響や深刻な不漁についても語られました。
 11月29日現在で、6農協、9自治体から賛同が寄せられています。今後、すべての農協、自治体の賛同の集約をめざし、12月8日の政府交渉に臨みます。
 9月県議会では食農ネットが提出した「農業者戸別所得補償制度の復活」を求める請願が採択されました。この内容で県議会段階では全国初の成果です。

11・8中央行動に3500人
 
全労連・国民春闘共闘・国民大運動実行員会は「安倍9条改憲ストップ、労働法制の改悪阻止、賃金の大幅引き上げ」などを求めて11・8中央行動を実施しました。
 中央総決起集会や、国会請願デモ、国会議員要請など3500人が参加。岩手からもいわて労連、自治労連、生協労組、農協労組、などの代表が参加しました。集会後、国会請願デモ、労働法制改悪反対などの議員要請が行われました。

県社保協が総会と社会保障学校
 
岩手県社会保障推進協議会は11月25日、県公会堂26号室で2017年度総会を開催しました。
 午後には岩手地域総合研究所、いわての介護を良くする会との共同開催で、連続講座「岩手の再生」・岩手県社会保障学校第2回を開催し、約100人が参加しました。
 今回は介護をテーマに、介護サービス利用者、介護事業者、自治体(西和賀町)などそれぞれの立場から報告し、考え合いました。
 菅野道生・岩手県立大学講師が「高齢者の地域生活の課題」と題して講演。西和賀町は医療給付は高いが、生活保護世帯は少ない状況にふれて「本来国がやるべき事を自治体が担っている。医療費が高いから税金を上げる、というのはおかしい」、「財政が厳しいからと安易に『地域の支え合い』と言っても限界がある。自治体が福祉をどう受け止めるか。トータルの視点が大事で、『公助』の再構築が求められている」と指摘しました。

アベノミクスの転換を/岩手県消費者大会
 
11月2日、2017年岩手県消費者大会が盛岡市サンビルで開催され、約450人が参加しました。岩手県消費者大会実行委員会が主催しました。
 政府は「アベノミクス」を加速させ、貧困と格差の拡大が進み、生活保護世帯数は過去最高となっています。そうした中で、今年の基調講演では金子勝・慶応大学教授が「格差社会を変え、くらしやすい社会にするために」と題してお話しました。
 参加者からは「新しい経済をつくるということが実現したらおもしろい。価値観を変え、自分たちで経済を取り戻すという考え方に共感」、「日本の将来について考えると暗くなってしまうが、だからこそ、私たち有権者が行動しなければいけないと再認識した」などの感想が寄せられました。
 大会は、午前に5分科会、午後の全体会で、基調講演、大会決議とアピール採択を行いました。

3面
なくせ過労死!いの健フォーラム開催
 
働くもののいのちと健康を守る岩手県センターは過労死防止月間に合わせて、11月23日に、県公会堂で「いの健フォーラム」を開催し、40人が参加しました。労働局、県、盛岡市が後援。宮崎労働局監督課長があいさつしました。
 「県内の現状と課題―過労死のない職場づくりのために」と題して高木隆造・岩手県立大学名誉教授が基調報告。高木教授のコーディネートでシンポジウムを行いました。菊田哲・岩手県中小企業家同友会事務局長、工藤和雄・いわて労働相談所所長、阿部恵子・いわて生協労組副委員長、上田瑞穂・岩手県社会福祉労組・保育部会長がシンポジストとしてお話しました。
 参加者からは「中小企業家同友会の会員が努力している話をはじめて聞いた」、「労働組合とも協力して行けば楽しく働ける職場ができると思う。中小企業家5万人のみなさんへの啓発もお願いしたい」などの感想が寄せられました。終了後、いの健県センター第3回総会を開催しました。
 11月18〜19日には、第12回いの健東北セミナーin福島が福島市内で行われ、東北各県から91人、岩手からは16人が参加しました。福島の現状を学びながら、3つの学習講座と現地視察も行われました。

「12時間2交替中止せよ!」/県医労が秋闘決起集会
 
岩手県医療局労働組合(県医労)は、11月9日、「県医労秋年末闘争中央決起集会」を県公会堂で開催し、全県から13支部、52人が参加しました。10支部が職場実態や闘う決意を表明。深刻な人手不足や、12時間2交替の試行など、過酷な労働実態が報告されました。
 集会後、県医療局棟前に集まり、「年末年始期間に非番を割り振るな」、「人手が足りないぞ」、「12時間2交替は今すぐ中止を」など力強くシュプレヒコールをあげました。

アベ働き方改革を許すな!/ディーセントワーク宣伝、青年ユニオンが県議会に請願
 
11月17日、盛岡市大通でディーセントワーク宣伝を行い、いわて労連、盛岡労連、いわて青年ユニオン、民青同盟岩手県委員会が参加しました。アベ働き方改革反対の宣伝と署名、シール投票を行いました。
 11月27〜28日には、いわて青年ユニオンと民青同盟岩手県委員会が「青年が将来に希望を持ち、安心して働き暮らせる岩手の実現を求める請願」を岩手県議会へ提出するため、県議会の会派へ賛同を求める要請を行いました。
 青年ユニオンと民青同盟は「青年の労働実態調査」に取り組み、約100枚集約。調査では、人手不足で残業になっており、3割の青年が「月80時間以上の残業」を経験しています。7割が賃金に満足しておらず、非正規労働者の半数近くが「将来の人生設計が立たない」と答えています。
 こうした実態をもとに、長時間労働の是正や最低賃金の大幅な引上げなどを求める請願をまとめました。
 12月4日に県議会議長に提出します。

社保庁分限免職は「政治のパワハラ」/社保庁分限免職撤回闘争
 旧社会保険庁の分限免職撤回闘争は、東北では秋田事案が仙台地裁で争われており、1月に判決を控えている中で、11月24日、仙台市内で「社保庁分限免職取消訴訟勝利11・24東北集会」が開催され、84人が参加しました。
 全厚生、国公労連、社会保険庁職員不当解雇撤回・秋田県闘争団支える会が主催しました。全体の進行を支える会事務局長の越後屋秋田労連事務局長が行いました。
 主催あいさつを岡部国公労連中央執行委員長、連帯あいさつを野村全労連副議長と内田JAL原告団長が行いました。記念講演は、朝日新聞で当時「政治のパワハラ」という社説を執筆した浜田陽太郎・朝日新聞記者が行いました。浜田氏は「当時、政治もマスコミも責任を末端の職員に負わせた。そういう時代の空気を読まずに書いた社説がよかった」「記者は時代をラフスケッチする。間違った線を直したり、正しい線を太くするのが皆さんの闘いだ」と述べて闘う意義を強調しました。
 その後、加藤弁護士が弁護団報告を行い、2人の原告が決意を表明しました。全厚生本部から、山本中央執行委員長がお礼のあいさつを行い、閉会のあいさつを松木国公東北ブロック議長が述べて、団結ガンバローで閉会しました。

NEWSフラッシュ
 ●県革新懇総会、学習講演会
 
11月26日、県革新懇2017年度総会が開催されました。矢野裕・前狛江市長(全国革新懇代表世話人)の講演会には80人が参加しました。総選挙後の情勢と市民と野党の共闘、狛江市長時代に経験された「市民が市政を動かした」実践を学びました。
 ●私学助成をすすめる岩手の会定例幹事会・総会
 
11月7日、私学助成をすすめる岩手の会が幹事会と総会を行いました。
 ●宮古労連第23回定期大会
 
11月10日、宮古労連第23回定期大会が開催されました。
 ●けせん労連第26回定期大会
 
11月15日、けせん労連第26回定期大会が開催されました。
 ●久慈地域労連第21回定期大会
 
11月16日、久慈地域労連第21回定期大会が開催されました。
 ●釜石労連第22回定期大会
 
11月17日、釜石労連第22回定期大会が開催されました。
 ●花巻労連定期大会
 
11月18日、花巻労連定期大会が開催されました。

主張
不当な雇止めを許さず、無期雇用転換ルールを活用しよう
 
12月になりましたが、秋年末闘争が継続している職場もあると思います。最後まで団結を固めて要求にこだわって交渉をやり抜きましょう。
 有期雇用で働いている皆さんは、年度末をむかえるたびに契約更新で不安な思いをされていると思います。2013年4月に施行された改正労働契約法で、有期契約から無期雇用への転換を求める権利が労働者に与えられました。パートやアルバイト、契約社員、派遣などの有期労働契約が通算で5年を超えた場合、労働者が申し込むことにより、無期労働契約に転換することができます。来年の4月から適用になります。労働者の雇用の安定を図ること、雇い止めの不安解消、期限の定めのない雇用に移行する道を開くことが法改正の趣旨です。
 しかし、無期転換権の発生が本格化する2018年4月を前にして、無期転換ルールを口実にした雇止めなど、違法・脱法行為が問題になっています。就業規則を一方的に変更して契約更新を5年上限にしたり、空白期間を設けて契約が5年に達するのを防ぐなど、無期転換の適用を避けるのが狙いです。合理的な理由がない雇い止めは明らかな改正法違反です。不当な雇止めなどを許さず、しっかり対応していきましょう。
 また、無期雇用に転換するには、労働者から申し出をしなければなりません。無期雇用に転換するチャンスでもあります。職場でしっかり意思統一して、未組織の職場の仲間にも情報を伝えて、労働組合への結集も呼びかけて無期雇用転換を進めていきましょう。家族や知り合いで、不当な雇止めにあったり不安に思ったりしている人があれば、身近な労働組合を紹介して一緒に取り組みましょう。
 12月8日に県内一斉労働相談に取り組みます。


4面
めも・あーつ195
ロシア革命の申し子、 作曲家ショスタコーヴィチ/「交響曲第5番ニ短調・革命」/チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ/指揮/ウラディーミル・フェドセーエフ
一昨年没後40年、昨年生誕100年を迎えたショスタコーヴィチ作曲の生演奏を11月6日、県民会館でようやく聴くことができた。
ロシア帝国の末期1906年、サンクトペテルブルグに生まれ、革命後の新生ソビエト連邦のなかで学んだ。ペテルグラード音楽院の卒業制作の交響曲第1番は、19歳の若く大胆で斬新な曲で世界中の注目を浴びた。程なく音楽・演劇界の人々とタッグをくみ、オペラ、バレエ、映画など次々に活動を広げ天才作曲家の名を欲しいままにするが、時代は彼に味方しなかった。
1934年、ソ連作家大会で芸術活動は社会主義リアリズムに沿って創作せよとの方針が出された。1936年1月、高い評価と人気で数十回の上演を続けていた歌劇「ムシェンスク郡のマクベス夫人」の劇場にスターリンが足を運んだことで彼の生活は大きく変わってしまった。
スターリンは途中で席を立ち、翌日の新聞「プラウダ」には西洋かぶれの形式主義と酷評された。時代はスターリンの粛清の嵐。全ての芸術は国家が望む方向性が求められた。彼は恐怖に脅えるなかである決断をする。
とにかく今は、妻と生まれたばかりの娘と普通に暮らす人々のために作曲しようと。1937年11月21日、革命20年を祝うこの「5番」を3か月で書き上げ、大喝采で迎えられた。
彼自身の不安を表すような重く深い第1楽章からティンパニーと金管の明るく軽やかな最終楽章へと進むが、最後まで、弦の厚みのある音色の底に流れる、ヴァイオリンの調律時の音が感動とは異質の感慨をもった。
そして、それこそが彼の抵抗の音。国家に迎合せず、自らを鼓舞する音。人は恐怖と強制でしばるのではなく、信頼と愛情で結ばれるべきだと。この曲は、彼がナチスばかりではなくファシズム全ての犠牲者に捧げた曲だと指揮者・フェドセーエフは語っている。
 音楽評論家・梅津時比古さんは、独裁者スターリンはかなりの音楽通で、どの音が1/4低かったなど指摘したというが、芸術が情操教育に役立つとする素朴な論を覆すに十分な例だと書いている。(音のかなたへ)(久保克子)

川  柳
死に票の砂上の楼閣アベ内閣
                                                                       巷多朗
厚化粧はがれて見えたタカの顔
                                                                       野の一枝
ていねいに口を拭って耳に栓
                                                                       瀬川重哉
国難はいつでも総理あなたです
                                                                       拓  庵
年金者組合盛岡支部